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【南米縦断記Vol.5】混沌のラパスを脱出し、白銀の絶景ウユニ塩湖へ。赤錆びた列車と「鏡張り」にならなかった大地の美学

david 2026年1月18日

🏔️
平均標高

約3,700m

🤩
絶景度

★★★★★

📸
写真映え

MAX

この記事の目次(クリックしたらジャンプ)

Toggle
    • ✈️はじめに:6000mの敗退を経て、空の旅へ
    • 🚡泥棒市場の上を行く「ミ・テレフェリコ」
  • 🗺️世界一高い首都「ラパス」
    • 🚂荒野の墓標「列車の墓場」
    • 🧂見渡す限りの白、転じて「赤い水」の謎
  • 🗺️絶景の舞台「ウユニ塩湖」
    • 🌵サボテンの島と六角形のアート
    • 🌇ウユニに落ちる長い影
    • 🚲次回予告:旅のフィナーレは「死」と隣り合わせ!?

✈️はじめに:6000mの敗退を経て、空の旅へ

2017年11月21日。ワイナポトシ(Huayna Potosí)での無念の撤退から一夜明け、私はボリビアの実質上の首都、ラパス(La Paz)にいました。
6000m峰への挑戦で酷使した体は、まだ昨夜の極限状態を鮮明に覚えていますが、街の空気は驚くほど騒々しく、クラクションと人の声で活気に満ちています。

次の目的地は、南米旅のハイライトであり、多くの旅人が憧れるウユニ塩湖。
夜行バスでの長距離移動の前に、このすり鉢状の特異な地形を持つ街を、少し変わった視点から――そう、「空」から眺めてみることにしました。


🚡泥棒市場の上を行く「ミ・テレフェリコ」

ラパスの交通手段といえば、地下鉄でもバスでもなく、空を行き交うロープウェイ「ミ・テレフェリコ(Mi Teleférico)」です。
標高3600mのすり鉢の「底」にある中心街と、標高4000mを超えるすり鉢の「縁」にあるエル・アルト地区。この高低差を結ぶ市民の重要な足であり、世界で最も高い場所にあるロープウェイ網としても知られています。

🗺️世界一高い首都「ラパス」

富士山の山頂とほぼ同じ標高に位置する、まさに「天空の都市」。
地図で見ると、山々に囲まれたすり鉢状の地形の中に、びっしりと街が形成されていることがよく分かります。

▲ すり鉢の底から縁まで、ロープウェイ網が血管のように張り巡らされています。

ラパスのロープウェイからの景色
▲ まるでドローン映像!赤茶色の家が細胞のようにびっしり。
ラパスの街並みとイリマニ山
▲ 奥に輝く守護峰イリマニ(6439m)。昨日はあんな高い場所に…。

ゴンドラから眼下を見下ろすと、未塗装の赤茶色いレンガ造りの家々が、斜面にへばりつくように密集しています。
そのカオスな街並みの奥に静かにそびえるのは、万年雪を抱いたイリマニ山(6439m)。

「昨日は、あんな雲の上の場所にいたのか……」

雪山を見上げながら、登頂断念の悔しさが少しだけ胸をチクリと刺しました。しかし、この圧倒的な都市のパノラマと、生活のエネルギーが、そんなセンチメンタルな気分を吹き飛ばしてくれました。


🚂荒野の墓標「列車の墓場」

ラパスから夜行バスに揺られること約10時間。
翌11月22日の早朝、ウユニの街に到着しました。標高は約3700m。空気は冷たく、乾燥しています。

ツアーのランドクルーザーに乗り込み、最初に訪れたのは塩湖の手前にある有名な観光スポット、「列車の墓場(Cementerio de Trenes)」です。

ウユニの列車の墓場
▲ 青い空と、赤茶色に錆びた鉄。残酷なほど美しいコントラスト。
放置された蒸気機関車
▲ 映画のセットではありません。本物の歴史の遺物です。

かつてボリビアの豊富な鉱物資源を運ぶために英国から持ち込まれ、産業の衰退とともに廃棄された蒸気機関車たち。
乾燥した台地にただ放置され、雨風に晒されて赤茶色に錆びついた鉄の塊が、どこまでも続く青空の下で静かに朽ちていく。

その光景は、単なる「廃棄物」や「廃墟」という言葉では片付けられない、ある種の現代アートのような退廃的な美しさを放っていました。
機関車の上によじ登り、乾いた風を浴びていると、本当に世界の果てに来てしまったような錯覚に陥ります。


🧂見渡す限りの白、転じて「赤い水」の謎

いよいよ、旅の主役であるウユニ塩湖へ。
四国の面積の約半分とも言われる、広大な塩の平原です。
11月は雨季の入り口にあたりますが、まだ本格的な雨は降っておらず、鏡張りではなく乾いた「白銀の世界」が広がっていました。

🗺️絶景の舞台「ウユニ塩湖」

ボリビア南西部にある世界最大の塩原。
その広さは約10,582平方キロメートル。「宇宙から見える白い染み」とも称されるほどのスケールです。

▲ 地図で見ても一面真っ白!日本の県がすっぽり入る広さです。

見渡す限りの白いウユニ塩湖
▲ 360度、地平線まで真っ白。距離感が完全にバグります。
塩の平原
▲ 乾季(11月)ならではのザクザク感。雪のようですが温かい不思議な感覚。

視界を遮るものは何もなく、地平線までただただ白い大地が続いています。
遠くの車が豆粒に見えたり、近くの人が巨大に見えたりと、遠近感が機能しなくなる不思議な感覚。
そんな白の世界を走っていると、突如として異質な光景に出くわしました。

ウユニの赤い水たまり

🔴衝撃の「赤い水たまり」

純白の塩の大地に、まるで血のような、あるいは火星の地表のような赤茶色の水が湧き出ています。ガイドによると、地下から湧き出るミネラル成分や、特定の藻類の影響だとか。

有名な「天空の鏡」も素晴らしいですが、こうした地球の鼓動を感じる荒々しい風景もまた、ウユニ塩湖の知られざる魅力です。


🌵サボテンの島と六角形のアート

塩湖のど真ん中に浮かぶ「インカワシ島(Isla Incahuasi)」にも上陸しました。
かつてここが湖だった頃の名残でしょうか。塩の海に浮かぶ孤島は、ゴツゴツとした岩とサボテンだらけの不思議な場所です。

インカワシ島の巨大サボテン
▲ 何百年もの時を見てきた、主のような巨大サボテンたち。

島には、高さ数メートルにもなる巨大な柱サボテンが林立しています。
彼らの成長速度は1年にわずか1センチほどだと言われています。つまり、ここにある背の高いサボテンたちは、何百年もの間、この過酷な塩の世界を見守り続けてきた「長老」たちなのです。

島の散策を終えて足元に目を落とすと、そこにも自然が作り出したアートがありました。

塩の六角形模様
どこまでも続く塩の模様

🎨自然が描く「六角形のアート」

塩の結晶が描く六角形の模様(ソルト・ポリゴン)です。水が蒸発する過程で塩が盛り上がり、自然に出来上がる幾何学模様。
踏みしめると「ザクッ、ザクッ」と、まるで新雪の上を歩いているような乾いた音が響き渡りました。


🌇ウユニに落ちる長い影

夕刻、太陽が傾き始めると、白い大地はまた別の表情を見せてくれます。

ウユニ塩湖に伸びる影
▲ 遮るものが何もないため、自分の影がどこまでも長く伸びていきます。

遮るものが何もないため、自分の影が驚くほど長く、長く伸びていきます。
昨日の6000m登山での、肺が押しつぶされそうな呼吸困難の苦しみが、嘘のような静寂。

ただただ広く、白く、美しい世界。

「登頂できなかった」という心の澱(おり)が、この広大な塩の大地に吸い取られていくような、不思議な浄化の感覚を味わいました。旅に出てよかった、と心から思える瞬間です。


🚲次回予告:旅のフィナーレは「死」と隣り合わせ!?

心を洗われるようなウユニの絶景の後は、再びアドレナリン全開の冒険へ。
次回の更新で、ボリビア編は最終回となります。

⚡ 向かうは世界で最も危険な道、通称「デス・ロード」 ⚡

標高4700mの雪山エリアから、標高1200mの熱帯ジャングルまで。
高低差3500mを一気にマウンテンバイク(MTB)一台で駆け下りる、クレイジーなダウンヒルツアーの全貌をお届けします。

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