マチュピチュ
奇跡の虹
アルパカ(?)
🌄はじめに:麓の村、アグアスカリエンテスの朝
2017年11月14日。旅の2日目は、マチュピチュ遺跡の麓にある村、アグアスカリエンテス(マチュピチュ村)で目を覚ましました。
前日に聖なる谷を経て、鉄道でこの村に入りました。
「アグアスカリエンテス(Aguas Calientes)」とは、スペイン語で「熱い水(温泉)」を意味します。その名の通り、この村には温泉が湧いており、世界中から集まったトレッカーや観光客が旅の疲れを癒やす場所でもあります。

早朝の村は、独特の熱気に包まれていました。
すぐ側を流れるウルバンバ川の激流の轟音と、遺跡へ向かう始発シャトルバスを待つ人々の多言語のざわめき。
標高約2,000m、深い谷底にへばりつくように建物が密集するこの村は、まるでアニメ映画の舞台のような、現実離れした旅情を誘います。
しかし、空を見上げると重く垂れ込めた厚い雲。
11月のペルーは雨季の始まりです。事前の天気予報も無情の雨。
「せっかく地球の裏側まで来たのに、真っ白で何も見えないかもしれない……」
そんな不安を抱えながら、遺跡へ向かうバスに乗り込みました。
🌫️霧に煙る「天空の都市」
バスで急斜面のつづら折り(ハイラム・ビンガム・ロード)を登ること約30分。ついにインカ帝国の秘密都市、マチュピチュの入り口に到着しました。
ゲートを抜け、石造りの通路を歩き、ついに視界が開けた瞬間。目の前に現れたのは……。


深い霧、そして雲。
定番の絵葉書のような「青空の下のくっきりとしたマチュピチュ」ではありませんでした。
しかし、がっかりしたかと言えば、答えは「NO」です。
むしろ、霧が生き物のように流れ、背後のワイナピチュ山(Huayna Picchu)が見え隠れする様は、この場所が「天空の都市」であることを強烈に実感させてくれました。
インカの人々がなぜ、下からは見えないこの断崖絶壁に都市を築いたのか。雲の中に身を置くと、ここが神に近い場所として選ばれた理由が肌感覚でわかる気がします。
しっとりと濡れた石畳、苔むした岩壁。
雨季のマチュピチュには、乾季にはない日本の水墨画のような「幽玄の美」がありました。
🌈アンデスの神が微笑んだ瞬間
遺跡の中を歩き回り、石積みの精巧さ(カミソリの刃一枚通さないと言われる技術!)に感嘆していた午後。
天候が劇的に急変しました。
厚い雲の切れ間から、スポットライトのような強烈な日差しが差し込んできたのです。
「あ!」
周りの多国籍な観光客たちが一斉に空を指差して歓声を上げました。

信じられない光景でした。
ワイナピチュ山と遺跡をまたぐように、巨大な虹が架かったのです。

雨上がりの湿った空気と、強い太陽光。すべての条件が揃った瞬間にしか見られない、奇跡のようなプレゼント。
インカ帝国では「虹(クイチ)」は重要なシンボルとして崇められていました。かつてインカの皇帝たちも、同じ場所からこうして虹を見上げ、吉兆を感じていたのかもしれません。
諦めずに待っていて本当によかった。この一枚の写真を撮れただけで、日本から来た甲斐があったと心から思いました。
🧱精緻なる石の世界を歩く
虹の興奮が冷めやらぬまま、再び遺跡の探索へ。
マチュピチュは、居住区、神殿区、農業区などに分かれており、非常に計画的に作られた都市です。

山の斜面を利用した段々畑(アンデネス)は、数百年の時を経ても崩れることなく残っています。
これだけの急斜面で土砂崩れが起きないのは、地下に水はけを良くするための石が敷き詰められているからだとか。インカの土木技術の水準の高さには、ただただ圧倒されるばかりです。
🍽️マチュピチュ村の名物「アルパカ・ステーキ」
遺跡を堪能した後は、バスで再びアグアスカリエンテスへ下山。
遅めのランチをとることにしました。
ペルーに来たら絶対に挑戦したかった料理があります。それは「アルパカ(Alpaca)」です。
日本ではモフモフの可愛い動物としておなじみですが、アンデス地方では古くから貴重なタンパク源として食されています。観光客向けのレストランに入り、早速「アルパカ・ステーキ」を注文しました。

出てきたのは、赤身のしっかりしたお肉。
恐る恐るナイフを入れて一口……。
「……美味い!!」
想像していたような臭みは全くありません。食感は牛肉とラム肉の中間くらいでしょうか。脂肪分が少なく、非常に柔らかくてヘルシーな味わいです。
歩き疲れた体に、良質なタンパク質が染み渡ります。
🤔本当にアルパカだったのか?
美味しく完食したのですが、一つだけ拭えない疑惑が残りました。
「これ、風味が完全に『牛肉』だったような……?」
あまりにクセがなさすぎて、言われなければ(いや、言われても)普通のビーフステーキと区別がつかないレベルでした。
これがアルパカ本来の味なのか、それとも観光客向けに“何か”が起きていたのか……。
写真の見た目だけで「これは〇〇肉だ!」と分かる玄人の方がいましたら、ぜひ教えてください。
🔙旅の2日目を終えて:クスコへ戻る
夢のような時間を過ごし、夕方の列車でクスコへと戻ります。
行きは不安だった曇り空も、帰りには最高の思い出の演出装置だったと思えるから不思議です。
「一生に一度」と思って来たマチュピチュですが、あの霧と虹の風景は、何度でも見に行きたくなる魔力を持っています。
もしこれから行かれる方がいたら、ぜひ「雨季」を避けるのではなく、雨季ならではのドラマチックな景色を楽しんでほしいと思います。
🧶次回予告:男性が編み物をする島?
明日はクスコ市内を散策し、いよいよボリビア国境を目指して移動を開始します。
🚢 目指すは天空の湖「チチカカ湖」
そこには、独自の文化を守り続ける不思議な島がありました。
国境越えのバス旅の様子もお届けします。