生命の危機
超強酸性
地獄の美
🇮🇩はじめに:2015年のインドネシア旅行
インドネシアと聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?
バリ島の優雅なビーチリゾート? それとも美味しいナシゴレン?
私が訪れたジャワ島は、そんなリゾートのイメージとはかけ離れた、「地球の中身が剥き出しになった場所」でした。
今回は、旅の初っ端から「あやうく大怪我(あるいはそれ以上?)をしかけた」衝撃の体験をお話しします。
🚫「触るな!」と叫ばれた死の湖
深夜に登山を開始し、ガスマスクをつけた観光客たちと共に頂上を目指しました。
向かったのは、ジャワ島の東端にある「イジェン火山(Kawah Ijen)」です。
火口にたどり着くと、そこには息を呑むような光景が広がっていました。

エメラルドグリーンの「罠」
「なんて綺麗な色なんだろう」
登山で汗をかいていたこともあり、私は涼しげなその水辺に引き寄せられました。
「ちょっと水温を確かめてみようかな」
そう思い、水面に手を伸ばした、その時でした。
「NOーーー!! Don’t touch it!!!」
背後から、他の外国人観光客の悲鳴のような叫び声が響きました。
驚いて手を引っ込めた私に、彼は血相を変えて教えてくれました。
「これは水じゃない。高濃度の『硫酸』だぞ!」

☠️ 美しい湖の正体
後で知って背筋が凍りました。この湖はpH0.5以下という、自動車のバッテリー液と同等かそれ以上の「超強酸性」の湖だったのです。
もしあの時、知らずに手を入れていたら…。ただの火傷では済まず、皮膚がただれ落ちるような大惨事になっていたはずです。止めてくれた彼には、今でも感謝してもしきれません。
⛏️ガスマスクの観光客と、タオル一枚の労働者
イジェン火山にはもう一つの顔があります。それは「硫黄鉱山」としての姿です。
火口からは常にモクモクと白煙(亜硫酸ガス)が上がっています。

私は運良く風向きに助けられ、ガスマスクなしでも耐えられましたが、周囲は重装備。
しかし、そんな地獄のような環境で、信じられない光景を目にしました。

ガスマスクもつけず、ボロボロのタオルを口に巻いただけの現地の男たちが、黙々と作業をしていたのです。
彼らは火口で採掘した「硫黄の塊」をカゴに入れ、急な山道を運びます。
私も少し触らせてもらいましたが、ズシリと重い。これを背負って何度も往復しているなんて…。
すれ違った労働者たちの体は、驚くほどガリガリに痩せていました。
そして、長年有毒ガスに晒されているせいでしょうか、肌の色も明らかに健康的とは言えない色をしていました。
私たちが「絶景だ」と写真を撮っている横で、彼らは命を削りながら働いている。そのコントラストはあまりに強烈でした。
🌋大地の呼吸を感じる場所へ
イジェン火山の衝撃冷めやらぬまま、次に向かったのは「ブロモ山(Mount Bromo)」周辺です。
ここもまた、地球のエネルギーが爆発している場所でした。

奥に見える高い山(スメル山)は、数分〜数十分おきに「ドーン!」と噴火しているのです。
定期的に黒い噴煙が空高く舞い上がり、そのたびに低い地鳴りが響きます。
日本では考えられない距離感で活火山と対峙する体験。「地球は生きているんだ」ということを、物理的な振動として感じました。
🍚生還した後のご飯の味
死の湖に手を入れそうになり、有毒ガスに怯え、火山の爆発音を聞く。
そんなスリリングな冒険を終えて下山し、安全な場所で食べたご飯の味は、生涯忘れられないものでした。

「生きているって素晴らしい」
大げさではなく、本気でそう思いながらお米を噛み締めたのを覚えています。
やっぱり日本人はコメですよね!
🌿次回予告:密林の遺跡と謎の出会い
過酷な自然の次は、1000年の眠りから覚めた「密林の遺跡」へ。
そこで私はなぜか、見知らぬ韓国人のおじさんと意気投合することになります。
👕 きっかけは「あの有名ブランド服」!?